ガイド日誌 -Recent Highlights              -過去のガイド日誌はこちら-

9月末

​ガイド4日目

 

キャンプ予定地に到着してリバーベースとする。

ここまでの所要時間は10時間。10kg超えのバックパックを背負っての遡行は正直いって楽じゃない。

 

 

北海道の渓流でここまで来る人はいない。

 

つまりイワナ釣パラダイス。  

北海道の渓流ではキャンプサイトの設営にヒグマ対策が必須。

テントはできるだけ密集させる。 仕上げにワイヤーでサイトの半径10mくらいの周囲をぐるっと囲むように50cmくらいの地上高にセットして末端に鈴やら防犯用のアラームを取り付ける。  夜間何者かがワイヤーに触れるとけたたましくこれらの音が鳴り響く仕組み。  これによってヒグマが接近したことをいち早く感知して対処行動を取る猶予を得ることができるという寸法だ。 

​今回の釣行ゲストチームのリーダーを務める台湾系アメリカ人のMark Yuhina氏

 

バンブーロッドのフライフィッシングをこよなく愛する彼は今回の北海道の秘境河川への釣行を何よりも楽しみにしていたという。  

 

「ここは予想以上だったよ。人口1億人以上の狭い島国にここまでのフィールドがあると知って驚きだ。 魚影の濃さ、魚のサイズ 、自然の濃さどれをとっても世界に通用するよここは… 」 

​…まあ普通は山奥のこんなとこまでは誰も釣りに来ないからね。 北海道じゃ渓流魚なんてそこらへんの街の中の川でも十分釣れるしさ。 実際、地元の釣り人は川よりも海釣り人が圧倒的に多いんだよ。 

「それはどうして??  こんなに素晴らしい川があるのに… 」

う〜〜ん…  文化だね。  トラウトやサーモン釣りは気軽に街の近くの海岸や港で釣る人の方が断然多いよ。 食べるために釣った魚を持ち帰るのがほとんどみんな目的だし、クルマから近い場所で釣らないと持ち帰るのが大変でしょ?   ちなみに日本人、特に北海道の釣り人の大半が魚をリリースせずに持ち帰る理由は釣りに行くのにワイフを説得するために必要なだけっていうのがホントのところなんじゃないかな!ww   本当はみんなガイドつきの川のフライフィッシングやコテージでのロッジングやキャッチアンドリリースの精神に一定の憧れは抱きつつも、自分だけの趣味のために時間やお金をそこまで割けないっていうのが一家のお父さんたちの本当のとこだと思うよ。 日本では!

 

「それはメイクセンスだww  いや米国でも台湾でもワイフが強力なのは一緒だよw   オーケー! じゃあ良かったら今度はそういう北海道の地元の釣り人がやっているような場所に案内してよ!」

いいよー。

…飾らず、誇張せず。  ガイドはありのままの北海道の釣り文化を海外の彼らに伝えてゆく…

​イワナの魚影は濃厚。

一箇所のポイントだけで何匹のイワナが釣れるか試しに数えてみたくなる。

ガイド4日目のこの日はキャンプサイトを中心に釣っては放しの繰り返し。

あまりにも魚が多すぎるからなのか釣れるイワナの平均サイズは25〜35cmくらいの小型が大半を占め、50cm前後中型のがたまーに釣れるといった感じ。 しかしながらプールの一等地の水底には必ずといって良いほど70cmくらいの「サケ大サイズ」のイワナが…  

ゆらーーーーり

と横たわっているのが見えるのだが…

なかなか良型はヒットしない様子。

見えてるやつは釣れないよー…といちおう伝えておくがやはりそこは人間。目の前で70~80cmのデカイワナが泳いでたらそれを狙わないなんてことはできないはずもなく。 

 

ビーズフライがいいんじゃないかとか極小ニンフがいいんじゃないかとかあれやこれやと手を替え品を替え繰り返しアプローチするが、結果はガイドの予想通りガン無視されつづけ。

 

 

「どうしたらよい? どうしてもあれを釣りたい」

 

以下ガイドのアドバイス。

「あのデカイやつはそもそもペアリングして産卵モードだから摂餌のために深追いしない状態なんだよ。ハナ面にうまーくコントロールしてフライを持っていったとしても果たして咥えてくれるかどうかだね。  それでもどーしても釣りたいってんならいったんポイント休ませてタイミング変えるしかないよ。 明日の朝またやってみよ。  でもねー、こっちからあれだけ姿が見えてる魚だから当然向こうからもこっちの姿が見えてるのよね…  だから相手の警戒範囲の外からフライをこっそりと送り届けないと絶対食ってはくれないと思う。 明日はホラ!あの30mくらい上流にある辺りの岩棚に上がって上流から流し込んでみ。  魚に見つからないように伏せるんだよ。 岩に化ける忍者になるんだ!」

 

…とちょっとコツを伝える。 

   

​谷の夜は誰が言い出すでもなく自然にみんな集まってきて焚き火となる。

 

ただでさえ荷物重いのに酒のボトルだけは誰も文句も言わずにここまで運んでくる。   

 

​手の込んだことのできる真面目な人ならここでイワナ料理などするのだろうが…  不真面目な僕たちはシンプルな焚き火飲み会が好き。酒はバーボンのボトルを奪い合うように回し飲みw   つまみはナイフで削ったサラミとパルミジャーノ。これだけで十分文句なし。

男の山遊びはやっぱシンプルがいい。

初めはいつも共通言語の英語で真面目に釣り談義。  ウイスキーが回ってきて饒舌になるとそのうち人生トーク、やがて世界各国のオンナの話とか下ネタ満載になってきて…  (この辺りになるともう英語じゃなくてみんな母国語混じりw)

 

最後はみんなただ黙って火を見つめる。 

​ガイド5日目

函の主。  巨大なイワナを狙う。

まだ薄暗いうちから起き出して岩になるの図。 …なかなかの忍者ぶり。

それまで微動だにしなかった彼が一瞬身震いして大きくロッドを立ててアワセを入れるのが見えた。

…やったか!? デカイの掛けたか!?

 

 

直後、両の掌を空に向け、こっちに向かって「オーマイゴッド」 のポーズをとってくる彼。  

 

咥えたのに、合わせられなかった…! 

 

なんと…   残念無念!

「ゲスト:今日のうちにもう一度チャンスはある? 」

「ガイド:うーーーん。 実は天候が少し怪しんだわ。昼以降に雨が降り出しそうなのさ。  こんな形の谷だから鉄砲水がやばい。  今日はこの後キャンプを撤収して予定よりも1日早く下山するよ。」

「​そうか…  来年また戻ってくるよ。」

​本命の大イワナは惜しくも逃したものの…  その下の函の開きで中型がすぐに釣れる。

 

 

「ゲスト:いやさっき逃したのは手応えこんなもんじゃ全然なかった別物さ!  ほんとにほんとに悔しい! そして悔しいけど面白い!」

 

 

「ガイド:うん。 自分も悔しい。そして申し訳ないけど、面白いw   これが釣りなんだよなぁ…」   

気持ち早めにテントを撤収して釣りをしながら川を下ってゆく。

甚だ美しい川に宝石みたいなトラウトいっぱい…

気持ちよく開けたプールのポイントでもドライフライでいくらでも釣れ続く…  

 

 

ここはパラダイス。 

​帰りがけ、規模の大きなプールのポイントの外れの傍流のボサ下でドライフライに出てきた居着きイワナ。

アメマス系に比べて魚体の色合いや斑紋の出方が全然違うのは一目瞭然。 触れた時の魚体の「ぬめり感」もこちらの方がヌルヌルしている感じでより両生類っぽい…

実際、川に居着く個体は夏の渇水などの時に干上がった川を移動するためにサンショウウオのように身をくねらせながら陸上を移動することもあるのだとか…

全長の割に頭が大きく年数を経た個体であることを意味している。  筋肉に比べて骨は成長のスピードが遅いが一度大きく成長したら骨は縮むことはないのと、筋肉は栄養が乏しいと縮んで衰えやすい。これにより栄養条件の厳しい水域で長く生きているとこういった頭でっかちのプロポーションになるのだとか。

​同じく別の場所で釣れた居着きと思しき40cmほどのイワナ。

​淡紅色の斑紋と茶褐色の体色が特徴的だがこちらはアメマス系のように一つ一つの斑紋が大きく間隔も広い。同一河川の中でもいろんな個性がイワナにはあるように見受けられる。

ガイドの予測通り昼過ぎから雨になる。

思ったほどの強い雨ではないがそれでも谷の中では十分に危険なので早めに撤退してきてよかった。

 

 

そして下山後の楽しみ。 それは温泉。

「今の俺たち泥と汗と魚のぬめりやら焚き火の煙臭さでドロドロだよなw」

 

「ああ、間違いないな。 自分じゃわからんけど相当クサイぞ俺たち。  公害レベルだわw」 

そんなしょーもない会話を交わしながら​3日ぶりに入る風呂は言わずもがな気持ち良い…     身体中の悪いものやらクサイものやら魂までがお湯に溶け出していってしまいそうなヤヴァイ快感。この開放感と心地よさはこういった手加減なしの山籠りを体験したものにしか理解できない。  

​きっとw

ガイド6〜7日目

​予定よりも1日早く下山してきたが、後志地方全体に前の晩はまとまった降水があったらしくどこの川もこの日は全部増水模様。

9月の北海道で増水…   といえば、サケ釣り。一も二もなくこの2日間はゲストを北海道式の「サケ釣り」に案内する。

川では魚影濃厚のトラウト、天気がやばくなって雨で川が増水したって海に行けばこんなサケが釣れる…  

 

最近は気候変動による大雨災害によって秋の釣りはどこも成立が難しくなってきているというが尻別川をはじめとしたこの辺りは地形的に大規模に増水しやすい河川もなく、不思議とサケも毎年それなりに回帰してくるので心配しないでほしい。

9月のニセコの釣りに死角無しというわけだ。  

Markが自身のフライワレットから今回の思い出のフライをプレゼントしてくれた。

美しく丁寧に巻かれたこのスペイ・フライを眺めるたびにイワナ谷で彼と過ごした数日を思い起こすだろう。

​釣り、旅、良き友に今夜も乾杯。

 

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