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ガイド日誌 -Recent Highlights              -過去のガイド日誌はこちら-

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2020年 7月

コロナ渦中の新千歳空港は人も少なく静か。

リピーターの到着を待つ。

山中深くの大イワナを目指す釣り人にとって世間の自粛ムードと日本人特有のいやらしい同調圧力など関係なし。 

それで良いと思う。     

 

KAMUYではすでに定番化した夏の源流

 

「泳ぐイワナ釣り」

​新千歳空港から走ること3時間弱。 首都圏からたったの半日で北海道の冷たい源流に心身ともに清められる。

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今回ガイドがゲストのために用意したハードな沢用

装備1式。  沢専用の保温力と撥水性能の高いウェア上下とソックス・グローブ。 それに加え落石や転倒から頭部を保護するためのヘルメット、ザイルによる確保や懸垂下降を可能にするためのクライミングハーネス・安全鐶付カラビナ・アセンション・ATC、 さらにバックパックまで用意とまさに全身の装備を完全に補完。  まさにこれだけでいきなり北海道の源流に直行できる専用装備のレンタル1式。

コアな沢ヤさんたちにとっては今や定番のFinetrucksフラッドラッシュ。

 

​国産品。

わかりやすく説明するとウェットスーツとラッシュガード双方の良いとこどりみたいなウェア。

​濡れても寒くない、重くならない、動きやすい、蒸れない、暑くない、着やすい、脱ぎやすい、嵩張らない…  とかなり性能的にヤバい。

​いったん源流釣行でこれを体験すると次回から手放せなくなる魔法の衣服。

​国産品の質の高さをモロに再認識させてくれる。

 

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​それでわ早速とばかりに…

泳ぐ。

​快適。

​おもわず笑顔。

 

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​初日は釣りよりもまずは環境適応。

​オリエンテーションというやつ。

深い釜をへつる、這いずる、泳いで渡る、そして、滝をのぼる。 

滝を登ればのぼるほどにイワナは大きくなる…  というのは実は北海道では逆で、北海道では海に近くなればなるほどにでっかいイワナがいるものなのだが、そんなことはどうでも良い。  滝がそこにあれば登る。

​だっておもしろいでしょ。

​男の遊びは単純がいいのさ。

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​釣り道具はパックロッド一択。 釣るならその時だけパックから出す。 釣らないなら面倒でも都度バックパックにしまう。 慣れていけば時間はそうかからないものだ。

バックパックにゴテゴテとネットだとかロッドチューブだとかいろんなものを取り付けたりしてはいけない。

なんでかって…?

ゴテゴテ付いてたら邪魔で動けない。沢中での行動は岩の上や水中を常時何かにぶつかり、使用者の全体重が集中的に装備に乗っかる瞬間だってよくあるもの。 元々繊細でヤワな釣り道具なんてむき出しで行動してたらあっという間に壊してしまう。

玄人の沢装備は全身ツルッとシンプルにひっかる部分や突起した部分をできるだけ作らないようにするのがスムーズな行動のコツ。  これはあらゆる種類のハードな釣行装備の基本にもなる。

​やがて釜を持った美しい簾状の滝に行き当たる。

​釜に沈んだ巨木の陰にどうやら魚影が…

 

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そうっと近寄ってGoproを水の中に入れてみると…

​あゝ いるいる。    右下のところにイワナ。   …わかる?

 

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ガイドもゲストをフォローで登りながら、チョコチョコと釣らせてもらう。

​ゲストがカバーしきれなかった大渕のエグレの下だとか、底の変化点だとかを探ってみる。

 

40cmに少し届かないくらいのアメマスが岩の下からニョキっと顔を出してきてなんとも可愛らしい。

 

こんな川の上の方まで海から上がってくるこの子達の逞しさにいつも驚かされる。

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夏の小河川でのガイドチョイス。「スピナー」

​古典的だが今も変わらず絶大な威力を発揮する。

写真上から順にBretton 5g (フランス製) x2

エーアールスピナー 3.5g(SMITH)

ファーラップ 4g(d3 カスタムルアー)

…中でもとりわけガイドのオススメはフランス製のブレットン。 スピナーのブレード形状は回転時の振動の大きさ、即ち魚へのアピール力の強さと大きく関係しているが、リーフのカップが浅くウィローリーフに比べてより真円に近い形状の「コロラド・リーフ型」が最も水推しが強い。 

そもそも小河川でスプーンではなくスピナーを使用する一番の理由が「より短いルアーのトレース距離の中で確実に魚に見つけてもらい、強い振動で魚の側線にアピールすることによってバイトを誘発する」 というもの。

使用目的に一番かなうのはやはり、同社の定番だということで、長年売れ続けているルアーにはそれ相応の理由がある、ということだろう。   ブレットンは価格も他の国産スピナーの半分以下と優秀。

​ルアーの性能と価格は全く関係がない、という典型的な一例か。

エーアールスピナーに50cmくらいのアメマスがガツンとヒット。  …するもファイト数合いしてすっぽ抜け。   フックが伸ばされ&折られて 惨めな姿になって帰ってくる…  

どうも国産メーカーのスピナー達は想定している対象魚が北海道向きではない様子。

​フックはかえた方がいいのだろう。

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​デフォルトからのフック交換の一例。  たまたま持っていたTDミノーのフック2本を外してスプリットリングを介して付け替えた。 それでもアメマスとの格闘によって少し伸ばされてしまっているが…  

ファーラップ(d3カスタムルアー)のこの特異な形状は発想として面白い。  実際に使った感想としては明らかに糸よれが軽減されていると感じることと、ボディの重心位置からくるものなのか振動抑えめのリーフ形状…  (このタイプのリーフの通称がわからない。 たしか、20年くらい前にルースターテイル社が売り出していたのをキッカケによく見るようになった。)  …からくるものなのか一般的なデザインのスピナーよりも引き抵抗が小さく、リーリングのスピードが同じであってもこれは一段深いレンジを静かにキレイに通すことができ、深場の探索が楽しいと感じさせてくれた。  なにやら水生昆虫を彷彿とさせるウェイト部分のデザインもチャーミングな感じ。

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先行者(ゲスト)が釣った後の釜で太軸のフックに交換したスピナーによるディープ・スローロールで仕留めた50クラス。

​深場に強いファーラップを使用して釜の底に着底後、水底ギリギリを切るようにゆっくりと手前にリトリーブしてきた後をこれが追跡してくるのが見えた。ピックアップ直前の水際で一段とリーリングスピードを落として浅場に追い詰められたベイト感を演出。  結果成功。

プレッシャーのかかった釣り場で間をおいてルアーについてくるが、そういうのがヒットするとしたら大抵はピックアップ直前の水際…  

こういう魚の行動には本来浅瀬で逃げ場を失ったベイトを捕食するという捕食者の本能が大きく作用しているのかもしれない。

つまりは…

リトリーブは最後まで気を抜かず慎重に云々… というルアー釣りの教科書になら必ず書いてあるアレはこういう意味合いで正しかったことが実証されたというわけだ。

まだこれから大きくなりそうな顔。

​北海道のイワナ(アメマス)は最大で80cmくらいまで成長する。

​勿論そのサイズの個体になると流石にこんな小渓流には上がってはこないが。

 

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ガイドは野生種のクレソンを摘む…

ホームに帰ってシャキシャキのクレソンサラダにするのが楽しみだ。

ゲストをガイドが我が家のディナーに招待して一緒に次の日の釣行計画を立て、お酒と釣り談話を楽しむというガイド・フィッシングの真の姿を体験できるのは一部のヘビーリピーターに限られた特権となる。

谷底の随所に野生の紫陽花。

7月の北海道の渓流で一般的。

​ゴージャスな咲きっぷりの園芸品種などに比べて花数も少なく控えめにひっそりと咲いている感じが渓谷の雰囲気にもマッチしていてむしろ好きだったりする。

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​Day 2

初日のオリエンテーションで沢での行動練習はバッチリ。

​2日目は本格的なシャワークライミングルートとなる。

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​林道終点の車止めから歩くこと数時間…  沢身に降り立ったあとはすぐに本格的なゴルジュ帯の連続となる。

​泳ぐか岩を登攀するかの判断で迷うことは多いが季節は夏。  ほとんどの釜を水に浸かって詰めていくのが早い。

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​いくら北海道とはいえ釣り人の多い昨今、大概の滝の上に大きな魚は今時ほとんどいることはない…   だが泳ぐことを思わずためらってしまうような陰鬱なゴルジュの暗い淵底の再奥にはさすがに良いサイズが潜んでいる。  

なにか文句でもあるのか…?? といった風貌。

​67センチの雄…   渓流の王者の風格。

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ドグンッと…  イワナとは全く違った異質の手応え。

あざやかな紅色を翻して釣り人の前に大ジャンプで躍り出たニジマス。

​こんな人里離れた谷の奥底にも少数ながら生息している。  過去に誰かが種苗を持ち込んだとも考えづらく、もしかしたら海を経由してここまでやってきたのかもしれない。

​釜の底が深ければ深いほどに…  

​普段目にすることもあまりないような巨体にルアーをひったくられる。 谷は奥へ奥へと続いていくが…  深追いへの誘惑と言い知れぬ恐怖心との葛藤に思い悩むのはいつものことだ。

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僕にもでかいの釣れましたよ!​

…とゲストの彼が嬉しそうに釣ったイワナを見せてくれる。

 

写真撮ってください、こんなの本州じゃ絶対釣れませんって…  

 

…そんなこともないとは思うのだが、嬉しそうにはしゃぐ彼の笑顔からは純粋さが伝わってくる。  

魚も純潔。  人も純粋。

山奥の澄んだ渓流ってー奴はどうしてこうも全てを綺麗にしてしまうんだろう。

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​どんどん魚影は濃くなってくる。

しまいにはもうワンキャスト・ワンヒット状態。

ガイドとしては時間が気になる。

​陽はそろそろ大分高く、余裕を持った帰路のペース配分を考慮せねばならないからなのだが。

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引き返すよ。  もう十分だろ??

ハイ、もう十分です。30?  いや50尾は釣ったかな。 イワナを釣り過ぎて腕が筋肉痛になるってこんな経験はそうできるもんじゃないですよね?

 

…んまあ北海道じゃそこまで希少なことでもないけどね。  ほらこっから今度は来た道(道じゃないけど)返すよ。 行きはヨイヨイ帰りは何とやらだ…  こっからが本番かもだぜ??

ヒエ〜〜 頑張ります!

8時間後、なんとか帰り着いた彼らは最高にヘロヘロになった体にガン冷えのサッポロ・クラシックを流し込んだのであった。

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