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ガイド日誌 -Recent Highlights              -過去のガイド日誌はこちら-

7月

北海道の夏は盛りが近いが6時は秋のように冷たい。

 

前日からの雨は草木を濡らすだけじゃなくて、一夜という時間をたっぷりとかけて森の木々の精気を蒸らしだしているようにも見える。

 

黄昏にも見えるような早い朝の斜陽の時間に船をだす。

 

気温があがって虫たちが動きだす。

魚も虫も変温動物だから自分で動くために必要な”体温”を自分ではつくれない。  

彼らにとっての行動のきっかけはすべてが太陽のエネルギーであり、彼らの動くタイミングを知るためには季節ごとの時間帯を知らなくちゃならない。

 

釣りのガイドってのは川のすぐそばに住んでいて、一年をとおして季節の移ろいや鳥獣虫魚の生き方をつぶさに観察することに尽きるようなもの。 

 

朝家の網戸に今年初めてのあの虫がついていたから、ああ、、季節がまた少し動いたんだなぁ、あの川のあの瀬に型の良いのが入るだろうとか、 家庭菜園の野菜やハーブの手入れをしていてそろそろ防除が必要な虫の出方だから、ああ、、そういう季節だなぁ、あのプールのあの時間にぴったりと入れるようにボートを出すタイミングを調節しようとか、実際にはそんな感じに季節と時間を知る。  

すべてはそこに生活していることありきの”経験”の積み重ねってこと。

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​ひとえに一般の釣り人とガイドの違いは”経験”。

​ガイドは長い年月をかけてそこに住み、常日柄そこの魚たちのことばっかり考えて生活している。  ネットやSNSで情報はいくらでも手に入るが、残念ながらいつ、どこにいって、どんなやり方で、何を狙って、どのように、釣りをしたら良いのかの『正確な』情報というのは掴みようがない。

川の近くに住んでいるわけではない土地勘のない”旅人”にとってこれは永遠にどうしようもないことであって、旅という極めて限られた時間の中でピタリと現場で正解を当てるためにはどうしたって自身の経験や思考を「補完」してくれる他者の存在が必要不可欠であり、これこそがガイドの存在意義になってる。 

​熟練のガイドが指示するタイミング、アプローチ、1日のうちの行動や時間配分など、良いマスを仕留めるためだけに特化したそれらは一分の無駄のないもの。

 

​この日もまたここに住んでいるわけではない”旅人”がガイドの案内によって青すぎる空の下の1点に”落とされる”

​盛期のグッドサイズのマスの入る場所は数キロの区間に数えるほどしかなく、時には10キロ以上もはなれていることもぜんぜん珍しいことじゃない。

​ガイドによって季節と時間帯を考慮された”狙いすました1点”にぽつんと落とされただけの旅人の心中は懐疑と不安と希望の混ざりあった、いささか不安定なものなのかもしれないけれども… 

 

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7月の旅人が手繰るカラフルなビニールの糸が川幅を超えて走る。 

 

対岸の瀬尻に待機しているであろう”想いびと”に届くよう願いを込めてロッドを前後に振る。 

洗練されたフライフィッシャーの姿はさながら楽団の指揮者のよう。

​マエストロ。

 

洗練されたフライの使い手は誰もが最初の重い手応えに焦らずに少しラインを送り込み、最良のフッキングを狙う…  どしん、、  ときた。  鮮やかな真紅の帯を纏った銀鱗が挑発的に水面を蹴って勢いよく飛び出す。 魚は空中で何度も頭を左右に振って「異物」をはずそうと試みるも、最良のフッキング状態となったフライはまず外されるということはないもの。 クラシカルなクリックドラッグのリールが金属の心地よい作動音を発し、フライ釣り師は悠々と魚の体力を奪いにかかる。 

翡翠色に渦巻く水底から応えを返してくれたのは7月の旅人たちの”想いびと”

ただこの川にこうして立ちたかった、 そしてこんな魚をかけてみたかった、、 

 

釣りのガイドが対価として渡すものは旅人の”想い”そのもの。  

 

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回収直前のルアーを追いかけて水面炸裂。 跳躍する。 疾走する。  ルアーでもこのくらいのサイズならさほど問題もなく相手になるが…   この後彼のロッドに”のしかかって” きたグッドサイズは数度の跳躍の後にフックアウト。

​底の見えないくらいの深場に消えていった頰の紅も鮮やかな雄だった。

​真夏のニジマスを相手にする場合ルアーの欠点はなんといっても良型のフックアウトの多さ。 理由はルアーそのものが持つ「質量」が大きいこと。 魚がジャンプ時など首を振った場合に瞬間的に解放方向に対してのモーメントが発生するケースが多くなりやすいというもの。

 

ルアーで良いサイズのマスをかけること自体はドリフトの場合ぜんぜん珍しくないしその機会もフライに比べて多いが、何ができないってルアーはキャッチに至ることが少ない。  ことグッドサイズの魚のキャッチ成功率に関してはルアーのキャッチ率が30%以下程度なのに比べてフライはほぼ90%以上が「掛ければ獲れる」 ヒット後のランディング成功率ではフライが断然ルアーよりも上となる。

 

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​同じくドリフトからのスプーンのキャスティングにヒットしたスタイルの良い雄。

​人によってはこの時期の良型個体のバラシ対策としてスイミングフックx2で臨むこともある。  太すぎる糸では水中のルアー操作が煩わしくなるし、そういったことを考慮すると細い糸を使いたいのだが、そうすると今度は軸の太い強靭なフックを魚の口辺にセットするのが難しくなる…    ルアーでのキャッチ成功率を上げていくためにはフックとライン、ロッド、リールのバランスというのは総合的に考えなくてはならず、 これはもはや「経験」でしか解決できない問題。  KAMUYのガイドとしては基本的にゲストのスタイルに影響をあまり与えないようにはしたいと常日頃考えてはいるが…     今まで星の数ほどの良型をフックアウトさせて肩を落とす様子をいつもすぐ隣で苦く見守ってきた経緯がある。   

7月はフライとルアーでは基本的に方法が異なる。 詳しくは実際に現場で説明しているが、 ルアーに比べてフライは時間が必要だ。 ルアーが1〜2時間で釣り切ることのできる川をフライで同じだけ釣っていくには単純に5〜6時間必要になる。  当然だが1日のうちの”良い時間帯”は限られているから良い時間帯のうちにより多くの確率を得られるのは多くのポイントをこなすこと、、  つまりはフライはルアーに比べて効率が良くないという欠点を持っていて、ヒットする確率という点においてルアーはフライのそれに対して断然上である。  

​7月の”想いびと”釣りでのルアー・フライの一長一短がこれで理解できたんじゃなかろうか。

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湧水と餌の豊富なこの川で魚はみな美しく、逞しく育っていく。

 

傷一つ見当たらない鰭が強力な水を掴む推進力を生み出すのだが、野生化個体の釣りの面白さはこのヒレの大きさ、傷のなさ、美しさに比例している。

 

そして更には7月の冷たすぎない水が釣り人に抵抗するのに十分な熱量を魚に与える。 

「ど〜〜うしても素敵な渓流で大きなマスを釣りたいです。僕の目標は50センチ超えのニジマスです!」  具体的なはっきりとしたビジョンを持って2日間ガイドを頼ってくれた2人組の1日目。  ガイドとしてはこうした具体的なイメージを持ったゲストを案内するにはまず、できるだけゲストの思い描くシチュエーション、、つまりこの場合は「まずは」 希望のロケーションにマッチする川に連れていくことにする。 徒歩の渓谷にいきなり案内するのは本来ならイレギュラーではあるが、安全上問題のない範囲に限ってであればゲストのとりわけ強い意向… ”想い”があればそうしている。 こういうあたりは「人対人のサービス」なので柔軟さはあるってこと。

 

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​ドライでやるから9時をすぎるあたりからがいいよ、といって時間を調整。 気温が上がってそこかしこでライズが起こる。  20センチくらいのイワナやニジマスがエンドレスにドライフライで釣れ続く…   その気になれば二人なら1日で100匹以上釣れそうな勢い。ただ、大型のマスは魚影をそこそこで見つけるも至近距離のドライでは相手から先にこちらが見つかってしまい、まず相手にしてもらえない。  実際のところそれが現実。 こういうのはこの日に限らずいつものことなのでして…。  

 

どうしたら大きいのが釣れるんですか?…ととっても素直な質問をしてくれたゲストに「魚がその気になるまで待つしかない現実」を伝える。 いわゆる”ライズ待ち”というやつなのだが、魚が生き物である以上必ず食わなくては生きていけない。 その瞬間が訪れるまで待って一撃必殺で狙って食わせるんだよ…   これが真実。 

 

「でも僕たちのような旅行者にはそんなに時間がないです…   ハァ、やっぱりダメかぁ… 」    

 

…よかったら明日はぼく(ガイド)のこの時期のオススメの釣りをやってみませんか、「渓流」という感じではなくなっちゃうんですけど… と聞いてみる。 あくまでもゲストの希望に沿うようKAMUYのガイドは全員が「控えめ」な自己主張を心がけてる。  

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​2日目、風景は一変してドリフトでやってきた本流。  日本… 特に本州の「渓流」に慣れた多くのトラウト釣り人にとってこういった広く深さのある川での釣りに馴染みのなさを感じる人が多い。 「ドリフトで本流をやるのはいいんですが、、自分にもうまくできるでしょうか??」  というやっぱりとても素直な不安を伝えてくれたゲストに対してガイドは誠意を込めて精一杯わかりやすく技術を伝えてあげることに。  「何事もまずは経験でしょ! 」 っていう当たって砕けろ的なノリでゲストたちはついてきてくれたけれど…   実のところ前日までゲストと過ごした時間の中でガイドは彼らの技量に確かな手応えを感じていたのだった。  よくよく聞くところによるとすごーく以前に流水のウェットフライの経験があるとのこと。  「それはいい、それはいけるはず。  水中のフライをイメージできることがすごーく大事なんだ。」 この時点でガイドは確信。    

 

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ボートからの軽いキャストでゲストにヘッドを伸ばしてもらい、ボートコントロールによる絶妙のスイングで​ガイドは(ガイドとゲストの彼は) 二人掛かりのチームプレイで広い川の中の思ったところにフライを届けてゆく…   水深、流速、底の地形、魚の定位する位置、、、 それら全てに想像をはたらかせながら水中のフライを操り、イメージする。 ガイドは川の随所で釣り手にとって必要な情報である、水深、底の地形、狙う場所へのアプローチのイメージを言葉で伝えてゆく。

 

釣り手は僅かなラインとロッドのコントロールによって、またガイドはボートロウイングによって高度なそれを実現するのだが…    ゲストの彼はというと、、 うまい。 うまくフライを泳がせている。 やはり昔にちょっとだけ?やっていたという流水のウェットの経験が生きているのだろう。開始からさして時間も経っていないうちにお互いの間にたちまち「信頼関係」が芽生えてゆく。 お互いに思ったようにこの広く深い川で見事に釣りが成立しているのだ…   こうなるとドリフトのフライは強いぞ…    

 

やがてガイドが狙ったある一点にフライが差し掛かったその時…

「きましたっ!!」

ゲストが声高に歓喜の声を叫ぶ。

 

魚は思っていたよりも大きかったという。 今回の目標だったという50センチ超えもあっさりとクリア。50どころか60にせまる本流育ちの体高のある立派なプロポーションである。  フライということもあり、こうしたサイズをかけてからの安心感はルアーの比ではなく、存分に魚の抵抗をいなし楽しんでからのスムーズなネットインだった。 

 

ゲストの彼:「ていうか…  釣れるんですねw こんな大きいの初めて釣りました!」 

 

ガイド:「釣れるっしょw」 (北海道弁w)  

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グッドタイムはまだまだ続く…

ひとたびコツというか…  「釣れる」っていう確信を得たガイドと呼吸ぴったりのゲストの彼の連続ヒット&キャッチはここからが始まりだった。

大事なことは水中のフライをイメージしてうまく泳がせてあげること…   1分1秒を完全集中!  いまどきの言い方だと、、

 

「全集中! ドリフトの呼吸!  イチの型 ストリーマースイング」  ってやつである。

 

ガイドが一つ一つ手作りで巻いたストリーマーフライのマスを惑わす力は折り紙つき。  ここぞという要所ではかならずと言って良いほど ドスンと強烈なアタリをとってゆく。

3本目だったか、4本目だったか覚えていないがとにかくもうどうにも止まらない。

​イケイケムード。

​実力の確かなウェット&ストリーマー系フライフィッシャーと呼吸のあった時のドリフトボートは本当に「破壊的な威力」を見せるもの。

実際にゲスト本人にどういったことを意識して釣ったか聞いてみたところ、「とにかくフライをねらった棚から外さずに泳ぎ続けさせることだけに集中した」

といってたけど、それが正解だよね。

わずかな指先に伝わるフライが底に触れる感触に集中し、底をひきずらずにわずかに浮かせて泳がせ続けるのだが、そもそも水の抵抗の大きな太いフライラインとスカジットティップを用いてこれを行うのはルアーのそれとは比較にならないほど繊細な感覚を必要とするため難しいのだ。当然水中のイメージがうまく出来ずに気づかないまま底を引きずると瞬く間にフライは川底に根掛かりしてしまう上、さらには悪いことに根掛かりしていることにさえ気づかずに悲惨なフライの根掛かり外しに終始してしまい、全く釣りが成立していないということになる。   しかしながらこれをうまく行った時のマスを食わせる能力は最強。 

青すぎる空。  澄みきった水。  息のあった釣り人とボートガイド。 釣れすぎる釣り。

​…パーフェクト   

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この時のゲストに使用してもらったロッド

OPST Pure skagit  10'8  6WT

ドリフトからのスイングの釣りにピッタリ!

使用ヘッドはこの時点で新しく発売されたばかりの

OPST Command Groove  275gr

特に尻別のドリフトコースの川底をコンシャスにフライを泳がせたい時にこのインターミディエイト素材のヘッドがやはり気持ちよくレンジをトレースできる。

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​特別なフライを使うわけではない。使用フライはイントルーダー。 柔らかな天然素材のゴートヘアとオーストリッチが水を受けてフワフワとマスを誘う。  KAMUYガイドが尻別で使うダンベルアイは3種類。  今回は使用しやすいいちばん軽いサイズのものを使った。 狙うポイントの深さによってこれよりも重いサイズの大きなアイも使うが、実際のところ使い手にかなりの技術がないと根掛かりばかりが連発してしまい釣りにならなくなる。

​使用フックはOPSTバーブレス。  グッドサイズのレインボーはファイト中に何度となく跳躍を繰り返したが、バーブレスフックであるにも関わらず一度もフックアウトすることはなかった。  やはりひとたびヒットさせた後のフライのフックアウト率の低さはこの季節の良型レインボーの釣りで大きなアドバンテージとなる。

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KAMUY会員のY氏。  初めてのフライフィッシングでの挑戦に4日間を使って挑んでくれた。 初日は河原でノットや基本的なライン操作の練習。  翌日のドリフトボートでなんとか小型のニジマスを1尾だけフライで釣り上げることに成功… !  3日目は川の状態が悪化したため予定を変更してオフショアのジギング。  4日目は再びドリフトでニジマスに果敢に挑んだが 結果はゼロヒットと相成った。

 

 

フライで気をつけたい最大の点は、「基本的にルアーよりもぜんぜん難しい」ということ。

 

他の項でも書いたような記憶があるが、どんな人でもキャスティングを含めてまともにフライラインを操れるようになるにはそれなりの経験と時間を要する。 全く経験のない人だと運動センスの良い若い人で1〜2日、それ以外だと最低でも2〜4日は「練習」をしてからでなくては「自分で釣る」というような状態にはならないので注意した方が良い。  ドリフトを使ってフライフィッシングで釣ることは最もやさしいと言われているが、それでも最低でもラインのハンドリング処理やノットを自分で結べるくらいのことはスムーズにできないとせっかくのガイドの時間がすべて「レッスンの時間」に費やさざるを得ないということになってしまう。 ただこれはあくまでも「ゲストが自分で釣る」ためであって、ガイドが代わりにキャスティングをして魚をかけて釣り上げる部分だけをゲストがやるような「体験フィッシング」であればフライ初体験でも初日から楽しめると思う。

何を言いたいかというと…   フライをやったことがなくてフライに挑戦してみたいという気持ちのある人は決して少なくないが、それをガイドフィッシングでいきなりブッツケ本番でやろうというのであればそれなりの日数をとってのぞむこと。   1日でやろうというのであれば、前述したように「体験フィッシング」以外では無理がある。

 

ところで…  この時の記憶でどうにも忘れられないのが3日目のY氏のオフショア。  積丹岬沖の水深60メーターポイントでのことだが、ブリ狙いのライトジギングにあきらかにそれとは異なる大型の魚がヒット。 この後も数十分間格闘するハメになったが結局まったくといっていいほど魚を寄せられずに最後はラインブレイク…  おそらくだがクロマグロ。 最近どういうわけか積丹沖でやたらと大型がヒットしているが…   せいぜい10キロそこそこのブリぐらいまでしか想定していないライトジギングで数十キロのマグロはちと無理がある。  ヤマメ狙いの極細仕掛けに5キロくらいのサクラマスのデカイのがヒットするようなもの…   といえば川釣りしかやらない人にも想像がつくだろうと思うが、要するに罰ゲームというか無理ゲー状態。   

 

初挑戦のフライフィッシングとドリフトボートでのニジマス狙いが転じてどういうわけか気がつくとブリ狙いのライトジギングでいきなり数十キロサイズのクロマグロと無理やり戦わされたという…  (ムチャクチャなシチュエーション…w) にもかかわらずポジティブで明るかったYさん…   あなたはステキです。   

 

「ていうか俺、ニジマス釣りに来たはずなんだけどなぁ… w」  Y氏談

​いや…  むしろステキです   こういうのもKAMUY流。  自然は予定どおりにはならないですねー。

​7月といえば…   会員限定になるが「泳ぐ渓流釣り」  KAMUYエクスペディションが楽しい時期でもある。 この日は山中一泊二日のキャンプ釣行。   狙いは大型のエゾイワナとトップでのニジマス。 深い釜をひとつひとつルアーを入れて探りながら、ザブンッと飛び込んでテンポ良く釣り下っていく爽快なスタイルがいい…

2021年の7月はとにかく暑かった。  北海道でも日中の最高気温は30度以上となり、冷たいはずの山奥の渓流でもずーっと心地よく首まで川の中に浸かっていられるくらい。  さすがのイワナ達も浅瀬でボーーとお昼寝。。。  (おそらく酸素が足りない状態) なんだかでっかいのもしれっと混ざってるし…  

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​でもってこの時は何をメインに狙ってるかというと…  これ。   青い釜の深みの底からセミルアーのナチュラルドリフトにこのくらいのがいちいちドカンと出てくる…   ニジマスはイワナに比べてやや高水温に対して強い。   イワナ達はほとんどが暑さでのびててあまり積極的に相手してくれなかったけれども、ニジマスは元気十分のようす。  

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キャンプ釣行のメインはやはり…   焚き火だろう。  最近は色々とキャンプブームだとかいうがKAMUYのそれは単なる「シンプルな野営」 状態。   焚き火台などない。 おしゃれな料理などはトーゼンないのさ。  あるのはというと…  釣った魚の他にはガイドがこっそり隠し持ってきた”燻ベーコン” これをテキトーに火で炙っていい感じに焼き上がったところをガブリと食う。   これが最高にイケるのだが、くれぐれもゲストにベーコン出すタイミングは間違えないように、ちゃんと「釣った魚の後」に出している(笑)   なぜかって??    (そりゃー肉の方がうまいからに決まってるからじゃないか!)

​この焚き火炙りの燻ベーコンにレモンをたっぷり絞ったハニーバーボンを合わせるのが今のところKAMUYの若きガイド達の間ではベストな野営の焚き火グルメの定番となってる。

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​ゲストは少しだけ先行してセミルアー。 ガイドは後からスピナーで釜の深い場所を探っていくスタイル。 昨年以来すっかりお気に入りのファーラップ。

​こんな風に川のすぐそばに1人用テントひと張りぶんの「平らな土地」をつくってキャンプサイトを設営する。 夜間の急な増水の可能性などを考慮するなら本来はもっと高台に設置するのが定石なのだが、この時は事前に精細な天候予測をした上で出発してきているので便利な水辺に決定する。  焚き火で暖をとり、濡れた衣服や装備を乾かし、調理もする。  燃料用の薪に使う川辺の流木が豊富な場所が良い。

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​2021年は7月にファミリーの参加者が多かった年でもあった。  おそらくは8月お盆の混雑・過密状態を避けるために家族旅行の時期をずらしてくる人が多かったためだと思う。  いろんな意味でこれは正解である。  7月というタイミングは実に良い季節で暑すぎもせず、寒すぎることもない。 お盆の一大混雑期を後に控えるためあらゆる場所が快適に「空いている」 時期なのだ。 家族でボートを貸し切ってのんびりと釣りを楽しむのにこれに勝る季節は他にはないだろうと思う。

​7月はこのファミリードリフトボートというのがまた侮れないのである。 老いも若きも女性も子供もとにかくよく釣れる。 なんだか皮肉な話でもあるが、ファミリードリフトはプライベートガイド のゲストの釣果をあっけなく超えてしまうことがよくあるのである。 

 

KAMUYを初めて利用しようとして迷っているなら間違いなくこのファミリードリフトがオススメ。 迷う必要なんてない。  

面倒な道具の準備が何ひとついらない。知識も技術もまったくいらない。プライベートに比べて短い時間でスパッと楽しめる。  さらにプライベートガイド より良い結果が良く出てしまう…    というわけなんだけれども…     じゃあいったいプライベートガイド の存在意義ってなんだろう??  と思うだろう。 

 

自己満足…??  ファッション感覚???  いやいや玩物喪志というやつかしら。

​釣りっていろんな意味で奥が深いらしく、とりわけこの場合の「玩物」である釣り具へのこだわりや”愛着”さらには個々のスタイルというものに関してKAMUYのガイドとしてあえてそこに言及することは控えておきます。   それだけで分厚い本が一冊書けてしまいそうだからで。 そのうちね。

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KAMUYのガイドやオブザーバー達の間で伝説的に伝わる「法則」 なるものが存在している。

1.  父が子を連れてきた場合、必ず子が父よりも大きな魚を釣る。

2. 夫が嫁を連れてきた場合、必ず嫁が夫よりも大きな魚を釣る。

3. 釣りの先輩が釣りの後輩を連れてきた場合、必ず後輩が先輩よりも大きな魚を釣る。

​4. 会社の上司が部下を連れてきた場合、必ず部下が上司よりも大きな魚を釣る。

​おそろしいことにこの法則の的中率が極めて高い。(事実です)   みなさまお気をつけてくださいまし…。

​長年連れ添った釣り友との秩序ある関係を一瞬にして破壊してしまいかねないこの恐るべき法則の原理を究明してみるとしよう…

結論を先に述べると「玩物喪志」がどうやらの原因のようだ、ということで仲間うちでは一応の意見の一致をみている。

この場合のよく釣る人というのは悪くいうと「あまり釣りに熱のない人」である。

釣りに熱のない人は自分でああやって、こうやって、あんな風にこうしてやってみようというような「自我」というものがあまりないことが多いのだけど、 つまりそういう人は当日にただ、ガイドの「言うとおりにするだけ」なのだ。​ことボートを使ったガイドフィッシングにおいてはとりわけそういう人がかなりの確率で良い魚をさっさと釣ってしまうことになる。 

 

なんせガイドというのは毎年同じ場所で何百という釣行を仕事として日々行なっているプロなのだから、どのようにやったらよく釣れ、どうしたら釣れないかなんてことを知らないはずがないので…。 こと時間の制約のあるファミリードリフトなどでは特にガイドは仕事ぶりも手際がよく、無駄なことは一切しない。

​つまりのところガイドフィッシングにおいてのこういった現象は決して「ビギナーズラック」ではなく、ガイドとボートの力がそのまま現れてしまったものだと理解できると思う。

​意気揚々と後輩や部下や彼女を連れてきてさぁいざ自分の得意な釣りとなったが、なんと自分の「好きな釣り」であるがゆえにガイドのアドバイスを聞けずにメンツが丸つぶれになってしまいかねない…    これはなんとも皮肉なことだけれども、事実だからこれはもうどうしようもない。

玩物喪志に熱心な人はガイドフィッシング…  とりわけこのファミリードリフトボート にあたってこういった現実を客観的に評価して用心してかかる必要があるかもしれないと警鐘を鳴らしておこう。

少なくとも、仲間や知人を引き連れてくる人というのはほとんどの場合にあって「言い出しっぺ」であることが多いのだから、私たちプロフェッショナルとしてガイドにあたる側としてもできることならば、そういう方々には「仲間うちでの”メンツ”をしっかりと保ってもらえれば実はガイドとしてもありがたい」  のであるが… w 

​仲間うちでの恐るべき「革命」が起きてしまうw  …ことを危惧するならやはり、1人でガイドを利用することを勧めるし、そういう部分では短時間・多人数であまりにも効率よく行いすぎるファミリードリフトよりは時間もたっぷりと使えて、自我を存分に許容してくれる「プライベートガイド 」の存在意義がちょっとだけ見えてくるだろうと思う。

​2022年の7月もまた、多くの「革命」を見せられてしまうことになるだろうか…w   言い出しっぺになってしまいそうなあなたはどうかそれまでに釣りのウデよりもむしろ”心”を磨いておいてほしいw  これは熟練のガイドからの決定的なアドバイスだったりする。

ちなみに…  これを書いている自分が例えば、海外などの経験がまったくない釣り場や対象魚、道具などを使って新しい環境の釣りに挑戦する場合は、とにかくまずそこのガイドなり、その場の経験者なりの釣りを”見る”ことから始める。  十分に見て理解し、その後も自分の考えでやるのではなくガイドの指示にしたがってやり通す。徹底して自我を押し殺すのである。多くの場合がそれでそこそこにうまくいくものである。 これは決定的な「コツ」といっても過言じゃないと思う。  よくよく古い釣りの洋書などを読み解いていくとやはり同じようなことが書いてあったりする。

​謙虚であることはどうやら人生のみならず、釣りにおいても成功の秘訣であるらしいということでひとまずはまとめておくことにしましょ。

最後にもってきて話が決定的に大きくそれてしまったけど、、  

 

7月というのはとっても良い季節なのさ✨。

 

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​7月のメインはこれらのニジマス。 ブラウンも時々顔を見せる。

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